この度オリラジの二人がコンビで揃って吉本を退社しました。
キングコングの二人も王道のタレントルートをあえて避けるかのようにして、本来なら恵まれたスター街道が用意されていたにも関わらず、既定路線に抗うようにして険しい道を選んで闘ってる姿は、吉本臭を払拭したいかのようで逆に好感が持てるというものです。
そこで今回は脱吉本芸人を企てるキンコンとオリラジにフューチャーしたいと思います。
お笑い第5.5世代の筆頭株・キンコンとオリラジの迷走
まずキンコンとオリラジの共通点はなんといってもスピード出世で即人気者となった持ち前のスター属性を兼ねた「華」を持っていた点といえるでしょう。
面白い芸人はたくさんいますが、「華」のある芸人というのは限られていて、スターの格に上がれるのは「華」のある芸人にしぼられます。
キンコンとオリラジは面白さではなく華やかさで売れました。
00年代前半のキンコンと半ばのオリラジの人気は一時凄かったです。
が、2組とも人気先行型の売れ方に不服だったのか、自らその売れっ子ルートから離脱していくような形で、新たに違う道を模索して望まれる形でのタレント業をセーブしていきました。
ポストナイナイを捨てたキンコンの方向性
キンコンのデビュー当時はルックスから芸風までナイナイのパクりにしか見えませんでしたが、それでも西野のイケメンレベルは文句なしでしたし、梶原にはポスト岡村の期待値が否が応でも高まる形で押されてました。
第二のめちゃイケとして始まった「はねトビ」ですが、期待値を越えられずイマイチの域を出ないままに終了し、方向性を改める形で西野はアート方面へ、梶原は私生活が慌ただしくなり、元からガヤでの番組出演を拒んでいたことで露出が減ります。
キングコング西野と絵本映画「プペル」
西野と言えば品川に次ぐ嫌われ者芸人として「ゴッドタン」でいじられてる時は最高に輝いてましたが、本人が本気でいじられることを嫌がってるところが逆にいじられて光る逸材であるということが露呈され、芸人としての新たなポテンシャルが感じられましたが、本人は完全に絵本作家での成功を目論んでおり、長い年月をかけて「プペル」のアニメ映画化までこぎつけたのは、まぎれもなく努力の賜物といえるだろう。
ただ本人は「ディズニーを越える」などと痛い発言は相変わらずで、「プペル」の世界観とメッセージ同様に、未来を信じるという一貫した姿勢は素晴らしいのだが、「プペル」一作だけで昇りつめられるはずもなく、この先3~5本くらいヒットを飛ばさなければ認められない世界であるということを理解しているとはとても思えない。
それはやはり芸人として苦労知らずですぐ売れたという経緯と、持ち前の容姿を含む器用な才能に過信してしまっているからであり、「たけしさんやさんまさんやダウンタウンやナインティナインを越えるには芸人のままではダメだ」と言うように、とにかく頂点への野心が強すぎるのが彼の嫌われる要素でもあり、魅力ともいえなくもない。
個人的には西野の描く絵はいいと思うし、何より彼のビジュアルは全40歳最強のイケメンだとは思う。
キングコング梶原=カジサックYouTuber
梶原といえば実家の生活保護受給やら元妻へのDV疑惑など黒い噂が絶えず、実際キングコングの活動の足を引っ張った戦犯と言えるが、心身症の病に苦しみながらも再婚後には5人の子を持つ子沢山の父親として、育児優先のためかテレビの露出を減らす中で芸人としてはご法度だった2年前にユーチューバーデビューを果たし、辛辣な非難を受けながらも地道に動画をアップし続けた結果、YouTuberカジサックとして認知されて現在に至る。
最近では上沼恵美子との確執も報じられたが、いつでも芸人も吉本も辞めたる的な気概が窺えて、逞しく感じられる。
オリエンタルラジオ二人揃って吉本退所
以前から着々と活動拠点をテレビから移行しようとしていた中田だけが退所かと思われたが、相方の藤森まで一緒に退所とは驚いた。
オリラジはどちらかといえば仲が良くないコンビに見えていたが、そうではなかったようだ。
実際は金勘定で中田とYouTubeを選んだ藤森がしたたかなだけか。
オリラジ中田の野望と力量
中田といえば以前から吉本の圧力に屈さず、己の信念を曲げない芯の強さが感じられたが、現在の芸人同士の村社会で群れることが窮屈だったようで、吉本退所は前々からの既定路線であり、やはりかという印象。
「しくじり先生」とそのスピンオフ偉人伝でのプレゼンの仕方を見るに、インテリ芸を極める方向で革命家としての野心が見え隠れする。
シンガポールに家族で移住することも明言しており、今後の活動から目が離せない。
中田は藤森を重宝すべき
中田は藤森の事を過小評価していてずっと下に見ているが、いったいいつになったら藤森の価値に気付くのだろうか。
中田は自分一人ででも言いたい事を喋って表現したいと思っているようだが、その横に藤森がいるのといないのでは全然変わってくるということがハッキリ解っていない。
オリラジが売れた理由は中田の作るネタ以上に藤森のルックスによるところが大きいし、実際に相方が藤森というのは中田にとって最大の武器だ。
この武器をうまく活用してこそ野望に近づけるわけで、中田にはない「華」を持っている藤森をもっと重宝すべきだ。
逆に藤森は中田がいなくてもピンのタレントとしてそこそこやっていけるだろう。
しかし中田は藤森が横にいなければ演説に多くの聴衆を囲う事は難しい。
そのへんがキングコングと事情が異なるし、コンビを継続する理由が残る。
オリラジ藤森はこれでよかったのか
藤森はテレビ的なタレントとしての需要を満たしていただけに、今後確実にテレビ露出が減っていくのはもったいない印象だが、本人曰く事務所に所属してタレント活動やるよりYouTuberのが儲かるからとのことで、決断理由も軽くてチャラいのがある意味ブレてない。
でも逆に言えば相方を尊重してついていくというのは義理堅く硬派であるともとれる。
藤森はテレビを主戦場にする方が適してるタイプに見えるだけに、この選択が後々吉と出るか凶と出るかは判らないが、昨今のジャニーズ同様今後は吉本興業内でもタレントが続々と退社していきそうで面白くなってきた。
田中みな実をふった硬派なチャラ男
藤森はなんといっても昨年の顔にも選出された元アナで女優タレントの田中みな実の元カレであり、しかも振った側であるというのがなにげにモテ男の頂点だ。
あの女子力が高くプライドも高く背は低い田中みな実をふった男・藤森だが、そのへんいっさい語らないのがカッコイイですね。(相手側からの圧力もあるんだろうけど)
渡部無き今ブランチの王様であるのに、その地位を捨てて水もののYouTuberを優先するというのも、やはり根本的には揺るぎない自信があるのだろう。
お笑い第5.6世代の葛藤
第七世代が持て囃される中、イマイチ不遇だった第六世代であるが、キンコンもオリラジも年齢世代的には第六世代に分類されるが、なにぶん売れたのが早かったため、特にキンコンは第五世代ともかぶりがちなので、厳密には5,5世代という中途半端な括りとなる。
特にスター属性を持っていたが故に、ガヤ芸人として露出するわけにもいかず、キンコンとオリラジが迷走の果てに新たな道を開拓していくのは自然な流れだったのかもしれない。
彼等がブレイクしていた当時は世代も違うので全く面白いと思わなかったが、今こうして吉本の看板を下ろすオリラジと、先駆者であろうとするキンコンのこれからは、俄然面白くなる予感しかしない。